完璧な照明と、紙とインクの匂いが漂う新しいカフェを見つけた。本棚には読み込まれた文庫本が並び、背表紙は長い年月を感じさせる。たった一杯のコーヒーで3時間も過ごしてしまったけれど、店主は嫌な顔一つせず、時折お湯を注ぎ足してくれた。
神保町という街は不思議だ。路地裏に一歩入れば、そこはもう昭和の時代。古書店の軒先には、誰かの知識や物語が詰まった本たちが積み上げられている。背表紙を指でなぞりながら歩くだけで、無数の世界への入り口をノックしているような気分になる。
今日見つけたのは、ずっと探していた絶版のエッセイ集。ページの端が少し日焼けしていて、前の持ち主が折ったと思われるドッグイヤーの跡があった。誰かが大切に読んでいた本を受け継ぐ。これもまた、古本巡りの醍醐味だ。