机の引き出しの奥に、書きかけの手紙がある。 宛名のない封筒、伝えられなかった言葉たち。
SNSで瞬時にメッセージが届く2023年。 手書きの文字には、デジタルのフォントにはない体温が宿る。 書いては消し、また書いては丸めて捨てる。その迷いの跡さえも愛おしい。
「出さなかった」のではない。「出せなかった」のでもない。 それは、私の中で大切にしまっておくべき感情だったのだ。
言葉にしてしまえば消えてしまいそうな想い。 手紙という形に閉じ込めることで、私はその想いを永遠にしたのかもしれない。 いつか、時が来たら読み返す日のために。